偉大なピアニスト、音楽家に必要な資質を
全て兼ね備えた類い稀なる才能
“偉大なピアニスト、音楽家に必要な資質をすべて持ち合わせている・・・ウィンスカスはニューヨークでのデビューリサイタルで、その類希なる才能が国際的キャリアを華々しくスタートさせたことを証明した”
- New York Concert Review -
“ウィンスカスはウィグモアホールを感嘆の渦に巻き込んだ・・・ショパンのソナタ3番、最終楽章ギャロップでの息をのむヴィルトゥオージティ、そしてコーダは電気が走ったような衝撃・・・輝かしいヘ長調のコーダで、ウィンスカスは驚くべき精巧な器用さを発揮し、この偉大な作品をぞくぞくするような結末へと導いた・・・これほどに完成された精神的に成熟した演奏で、このきわめて洗練されたブラームス作品を聴くことができたことは、大きな喜びだ”
- Robert Beattie, Seen and heard International -
-ファンタスティックピアニストシリーズ2014-
<ウィンスカス公演に寄せて>
カスパラス・ウィンス カス。まだ若いリトアニアのビアニストが6月22日に大阪のザ・フェニックスホー ルでリサイタルを開く。その手伝いを旧知の在阪音楽マネジャーが引き受けることになり、DVDを 送ってきた。2008年3月30日 にフィルハーモニーの室内楽ホールで実現した、ベルリン・デビューのライヴ。満員とは言えない客席が先ずハイドンのソナタの端正な佇ま い、引き締まった音色に聴き耳をたて、ショパンの潔さ、リトアニアの作品(バリス・ドヴァリオナスの「冬のスケッチ」から3つの小品)の 珍しさに引き寄せられ、最後のラフマニノフの第2ソナタの熱狂へと一気になだれ込む様がその まま、記録されている。日本ツアーでもブラームス、ショパン、ドビュッシーの名曲を並べ、最後にラフマニノフの同ソナタを弾く。ベルリン のライヴから6年を経た今、母国でのユニークな高校生向け音楽教育プログラムや音楽祭の監督などの実践も重ね、演奏には一段の磨きがか かっているに違いない。イケメンだが、眉間に皺を寄せて弾く姿がなかなか真摯でアーティストらしく、演奏の傾向とも一致していて好感が持 てる。
(池田卓夫・日本経済新聞 記者)
- プロフィール
カスパラス・ウィンスカス Kasparas Uinskas
リトアニア生まれ。6歳でピアノを始め、リトアニア国立音楽・演劇アカデミーにてベロニカ・ビタイテに師事し、博士課程を修了。続いてワルシャワのフレデリック・ショパン音楽アカデミー、ジュリアード音楽院にてカーリヒシュタインにて研鑽を積む。ウラディミール・ホロヴィッツ奨学金を獲得。
大きな反響を呼んだカーネギーホールでのデビューリサイタルに続き、ケネディセンター(ワシントンDC)、ウィグモアホール、ベルリン・フィル・ハーモニーなど世界の名だたるホールでリサイタルシリーズを開催、いずれも聴衆、批評家の絶賛を浴びている。
昨シーズンも、ソロ、室内楽、オーケストラとの共演で、ウィグモアホール(ロンドン)、アウディトリオ・ナシオナル(国立音楽堂・スペイン)、Auditorio Fundacion Caixa Galicia A Coruna(スペイン)、クラクフ・フィルハーモニー管弦楽団(ポーランド)、ほかイタリア、ハンガリー、ポルトガル、トルコ、リトアニアなど各地で活躍。
2011-2012シーズンは、スロヴァキア放送交響楽団、リトアニア国立交響楽団、テプリツェ北チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、キスロヴォツク・フィルハーモニー管弦楽団、Filarmonica de Stat Targu Mures, Filarmonica Oltenia in Romaniaとの共演、またウィグモアホール、ベルム文化ホール (ノルウェー), ボザールコンサートホール(ブリュッセル), Filarmonica de Stat Targu Mures(ルーマニア)でのソロリサイタルなどがある。
J.S.バッハから20世紀の作品までレパートリーは多岐にわたるなか、特にショパンの演奏において評価が高い。2006年のショパンリサイタルはデビューCDとしてリリース、また2008年ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ映像はDVDもリリースされている。ラジオ、TV出演も数多く、BBCラジオ3では「In Tune(ホスト:ショーン・ラファティ)」でデビューを果たし、またデヴィッド・デュバルの「Reflections from the Keyboard(ピアニストのひととき)(WQXR, NY)」にも出演し話題を呼んだ。
2010年夏、New Musical Generation summer festival and academyの芸術監督を務め、世界中から著名演奏家と若い音楽家を招き10日間にわたってコンサートとアカデミーが行われる同フェスティヴァルは大きな反響を呼んだ。
リトアニアの作品の演奏にも力を注ぎ、2005年、リトアニアの演奏家と共にVladas Jakubėnasの作品をレコーディングするなど、意欲的な活動を行っている。デビューリサイタルシリーズにおいてもリトアニアを代表する作曲家バリス・ドヴァリョーナスの作品をたびたび取り入れている。教育にも熱心で、リトアニア国立音楽・演劇アカデミーなどに招かれマスタークラスを行っている。アウトリーチ活動も積極的に行い、2006年よりリトアニアの高校にて、生きたクラシック音楽を提供する音楽教育プログラムを実施、これまで8000名の学生が参加、大きな成功を収めている。